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好きでもない男を彼氏にするなどしてみた。
1ヶ月ほど前の話だ。彼は元彼との共通の友人であった。如何に元彼が普通でない人間かも知っていたし、私と元彼がどんな付き合い方をしてきたかも知っていた。
彼は彼でまた悲惨な恋愛をちょうど終え傷心ナウといったところで、お互いのわけのわからない傷を舐め合うような形での付き合い始めだった。
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最近持っていてイライラするものをすぐに捨ててしまう癖がついた。
そのおかげで感じるストレスは半分以下になったが、大切な人間関係も半分以下になった。
好かれたいと思うから苦しいのであって、最初からどうでもいい存在にしてしまえれば楽なことに気がついた矢先の結果だった。
本当に自分のことを好きであろう人以外をバサバサ切り落としていったら半分以下だ。自分が如何に矮小な人間かを思い知る良い機会だったのかもしれない。
とにかく、ストレスのない良い日々だ。
その他はどうであれ。
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好きでもない男を彼氏にした弊害はたくさんあった。
趣味が合うわけでも、容姿が好きなわけでもない、慰め合いのような生活だからただただ楽しくない。
好きであれば許せそうなことも、許せない。
でも1人でいるよりはストレスが少ないから、それだけの理由でひたすら惰性で生きている。
いつの間にこんなことになったのかな、と思った。
真面目な恋愛ってなんだったかな。
とりあえず一途であればいいかと思って彼氏のような人だけを見ているけれど、一向に不真面目でしかない。
初めて喧嘩をした。一瞬で別れ話を切り出した自分に驚いた。
なんだ、答えは出ていたんじゃないか。
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別れ話をし、私の家に忘れ物があるかもしれないという彼に、私は直帰せずこのまま出かけるから鍵だけ玄関に置いておいて、と鍵を渡し、告げた。
帰宅しリビングに手紙が残してあった。読まずに食べた。返事もしない。黒ヤギさん以下の人間だ。
そのまま幾度と未練たらしく鳴るLINEをブロックし放置すると、手首に傷の増えた彼が家に特攻してきた。
私はまた、今回も変な男を捕まえたらしい。
結局(精神的に)死にそうになっている彼にご飯を食べさせ(ローストビーフ丼だった)、慰めているうちにまた絆されて、最初からになった。同じことをひたすら繰り返している。
今回は何年無駄にするのか、今から誰か私と賭けよう。
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如何にストレスが減らせるか、と暮らしているのに、自らストレスを増やすことに尽力している気がしている。確信はしたくない。
とりあえず今が幸せであることで、未来はそれからだ。
今に全力で贖いたい。